今回は、○○県歯科医師会の福祉共済制度に係る死亡共済金は
相続税が課税されるのか? 所得税が課税されるのか?
間違いやすい論点についてご紹介します

 

【事例】

 

歯科医師Aは本年死亡し、社団法人○○県歯科医師会から福祉共済金
(死亡共済金)400万円が、妻Bに支給された。
福祉共済制度の概要は次のとおりである。

○ 負担金(月額)    9,000円
○ 支給原因  会員の死亡、火災等の災害及び重度障害
○ 中途脱会でも負担金の返還はない(掛け捨て)
○ 死亡共済金の支給は会員の指定した受給権者又は法定相続人
○ 当制度の負担金は、「○○県歯科医師会福祉共済基金」として別会計とする

 

【回答】

 

この死亡共済金は、受取った妻Bの一時所得に該当し
妻Bは、所得税の確定申告の必要があります。
なお、妻Bの一時所得の計算にあたって、Aの支払った負担金は
控除できません

 

【解説】

 

今回の歯科医師会の死亡共済金は、受給権は会員の指定した者
(指定した者がいない場合は法定相続人)にあり、死亡した会員に
帰属した後に相続されるものではありませんので、
本来の相続財産ではありません。

また、相続又は遺贈により取得したと見なされる生命保険金
については、相続税法に規定するものに限定されていますが、
本件死亡共済金はいずれにも該当しないため、みなし相続財産
にも該当しません。

 

⇒つまり、相続税の課税対象財産ではないという事です
そこで、受取人である相続人Bの所得税の課税対象となります

 

1.相続人Bの所得区分について

 

この共済一時金は、会員の死亡という偶発的な事由により
会員ではなく受給権者に支給されるものであり、労務や役務の対価性
もなく資産の譲渡の対価としての性質も有していないことから、
受給者の一時所得に該当するものと考えられます(所法34条)。

 

2 一時所得の収入金額から共済掛金を控除することの可否について

 

一時所得は、その発生原因が単発で個別性が強いので、
一般的な必要経費の概念はありません。そこで、当該共済掛金の性質は、
中途返戻金のないいわゆる掛け捨てであり、
火災や重度の障害に対しても共済金が支払われることになっています。

 

そうしますと、この掛金の内、死亡共済金の原資として積み立てられて
いる部分の金額とそれ以外の部分の金額(災害や重度障害の給付積立金)
とに明確に区分できるかどうかが判断基準になろうかと思われます。

 

一般の生命保険金等の場合は、積立金部分を掛金として一時所得の収入
金額から控除するのですが、掛け捨てという性質上、この掛金(負担金)
を積立金と見なすことはできず、火災等の災害等にも支払われることから
個別対応(死亡共済金と掛け金)は無理となります。

 

また、所基通34-4において、支払を受ける者以外の者が負担した
保険料等であっても、一時所得の収入金額から控除できる取扱いになって
いますが、これは所令183条3項に規定される生命保険契約等について
の取扱いですので、本件の共済金は該当しません。

 

したがって、本件共済金の掛金は所法34条2項の「収入を得るために
支出した金額」には該当せず、本件の死亡共済金に係る一時所得の収入金額
から控除することはできないものと考えます。

 

<参考文献:TKC税研データベース>
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